なぜかはわからないが、私が勤務している会社には、社内恋愛を好しとしない風潮がある。
社員同士が恋愛にうつつをぬかし、仕事に集中できなくなることを、会社側は不安に思っているのかもしれない。
しかし、会社という集団の中では、若い男女が毎日顔を突き合わせて働いているのだから、恋愛感情が芽生えることをおさえることは難しいだろう。
だから、社内恋愛を楽しんでいる社員は少なからず存在する。
しかしそんな社員たちは、自分が社内で恋愛をしているということを、社内に公表することは決してない。
社内恋愛を好しとしない社風なのだから、当然のことかもしれないが、付き合っているにも関わらず、必死に隠そうとしている様子が、第三者の目にはたまらなく滑稽に映るのだ。
恋愛中の社員同士が廊下ですれ違うときに、必死に目をそらしたり、就業後にわざと時間をずらしてオフィスを出たり、見え見えの行動を目撃すると、思わず「もうバレていますよ」と声をかけたくなってしまう。
実は、私もつい数週間前まで社内恋愛を楽しんでいた過去がある。
付き合って1年が経ち、機は熟したと思ってプロポーズをしたのだが、振られてしまった。
どうやら、別の課の社員と付き合っていたらしく、私は二股をかけられていたようなのだ。
社内恋愛が壊れてから、私は会社にくるのが嫌になった。
出社すれば、振られた元カノと顔を合わせるのだから、これほどの苦痛はない。
会社が社内恋愛を好しとしないのは、私のような人間を増やさないためなのかもしれない。